今日は、5年生が入二FC、ヴィトーリア目黒と、4年生が田奈SC、ヨコハマキッカーズと練習試合でした。さて、この10年ほど本職の研究のほうで、鶴見和子という社会学者を参考にすることが多くなりました。彼女は、柳田国男や南方楠熊の仕事を現代社会に照らし合わせて解説しています。私自身も柳田国男や有賀喜左衛門を始祖とした生活論をベースにしていますので、共感することがたくさんあります。その中に、必然性と偶然性ということがあります。難しい話は横に置くとして、科学とは何かということです。一般的に科学的であるかどうかということは、それが客観的であるか、再現性があるかということが重要だとされています。つまり、因果関係を解き明かすこと、必然性を究明することが科学の使命だということになるのです。しかし、それは科学の一側面にしか過ぎないということを、古くから柳田や南方は主張してきたと鶴見和子は考えています。世の中には「説明」出来ないことがたくさんあります。だから、面白いと言えます。もちろん、物事の因果関係を解き明かすことは科学の面白さですが、そこに「偶然性」という視点をいれることでその面白さは深まります。で、サッカーの面白さは何かと考えると、まさしく必然性と偶然性の産物ではないかと思います。どうしたら、点が取れるか、取られないか、指導者たちは科学的に究明し、その因果関係をもとにトレーニングを行います。しかし、ピッチ上では様々な偶然性が勃発するのです。たまたまそこにいたから点が入ったということもあります。これをまた「科学的」に解明しようとする人たちがいますが、それは因果関係で説明できないし、それではサッカーの面白さが半減してしまいます。指導者は、必然性を追い求めていくのが仕事ですが、一方では「偶然性」を認める(許容する)ことで自分自身がサッカーを楽しむことができるのではないでしょうか。その心の余裕が、子どもたちにプレーの創造性を発揮させていくのだと思います。もうすぐ、新年度、公式戦が始まります。子どもたちと一緒に「偶然」を楽しみたいと思います。